田中重博(「市民の会」共同代表・茨城大学名誉教授)
市民は市長に「白紙委任」したわけではない

私は住民投票条例請求代表者の一人で、「新・水戸市民会館計画を白紙に戻し、市民の声を反映させる会」(略称「市民の会」)の共同代表を務める、茨城大学名誉教授の田中重博でございます。
私は茨城大学で38年間、地方自治論を教育・研究し、3年前に退職いたしました。このような地方自治の専門家の立場から意見を陳述いたします。

まず、新・水戸市民会館計画を問う住民投票条例制定を求める署名が1か月(実質29日間)という短期間に法定数の3.3倍以上の1万4691筆も集まったことは、この問題への市民の関心の強さと広がりを示すものであり、市長や議員は、この広範な市民の思いや願いを真摯に、重く受け止めなければならないと考えます。

第2に、巨額な事業規模と立地場所を事実上市長の独断で決定した異常さと市民からの意見聴取の不十分さについて指摘しなければなりません。
すなわち、平成25年12月議会で、高橋市長は、新市民会館を泉町1丁目北地区再開発事業で実施することや、2,000名収容の大ホールとすることを突然表明し、「水戸市第6次総合計画」(「6水総」)で68億円と策定した事業費をその4倍以上の300億円以上の巨大な額(面積では旧市民会館の約3倍の巨大なもの)に膨張させたのです。その後、議会に特別委員会が設置されたものの、事実上、市長の提案を追認しました。

また市民からの意見聴取については、市民アンケートは現在の計画を前提とするもので、その回答者もわずか331人(有権者の0.15%)にすぎず、パブリックコメントの意見数も計14人55件しかなく、全く不十分なものでした。私たちはせめて1万人規模のアンケート調査の実施を提案しましたが、それも実施されませんでした。
このように、市長が市民の意見を十分に聴かず、このような重大な変更を行ったことは、地方自治と民主主義の原則からも許されるものではありません。

3番目に、巨大な借金と多額の将来負担の問題です。
新・水戸市民会館の事業費約320億円(この額は、市の資料に基づいて建物費用192億円に、家の建設なら用地費に当たる市街地再開発費103億円並びに予想される専用駐車場建設費20~30億円を加えて算出したもので、根拠のある正当な見積もり額です)は、水戸市の一般会計予算の約3分の1に匹敵します。国の補助は、建物建設費192億円では12億円しかなく、震災復興特別交付税の手当てもありません。

総事業費320億円は27万人市民1人当たりで12万円の負担(4人家族では48万円)で、その大部分が市債(借金)で子供の代まで多額の借金の返済を負わせることになります。
公有地などに旧市民会館と同規模のものを建てると70億円以下で済みます。
市長が進める4大プロジェクトは合計1,000億円以上で、市の一般会計予算に相当する巨大な額で、市債残高は2452億円もの膨大な額となります。4大プロジェクト全体が10億円単位で事業費の増加を繰り返しており、事業費はさらに膨れ上がる可能性があります。

高橋市長は、4大プロジェクトは「選挙公約」であるといいますが、新・市民会館の立地場所や規模や事業費等については公約では全く触れられていません。これでは市長の計画が市民に認められたとは到底いえません。市民は「巨大箱もの」によるけた外れの税金の浪費を決して「白紙委任」したわけではありません。
4大プロジェクトは全体として見直し、削減すべきです。特に、東町運動公園新体育館はそもそも水戸市ではなく県が行うべきものですが、メインアリーナは「客席約3,700席」とされ、目的や規模が新市民会館計画と重なる面があり、重複投資となる恐れがあります。

市民会館は、市民の芸術文化を育成し、市民の自主的で自治的活動を促進するなど市民になくてはならない重要な施設であり、私たち「市民の会」も身の丈に合った市民の使いやすい新しい市民会館の早期の建設を強く望んでいます。
しかしながら、巨額の税金の無駄使いとなり、子供たちに多額の借金の返済を負わせる計画は、やはり一旦見直し、市民の声を十分聴いて計画を練り直す必要があると考えます。

第4に、利権がらみの疑惑と特定企業優遇についてです。
今回の事業は、再開発事業により、旧京成百貨店の所有者であり、最大の地権者である「伊勢甚」に「補償金」という形で約30億円もの巨額の税金を供与するものです。「伊勢甚」は旧京成百貨店を10年前に19億円で買収したとされています。したがって30億円マイナス19億円の11億円プラス「解体費」13億円の大半が「伊勢甚の利益」となります。一部特定企業と行政の癒着、「利権政治」の産物という批判を免れません。このような疑惑について、市当局は市民に対し明確な説明をしておりません。

また、志村病院の移転代替地の買収でも、水戸市が直接買収し、移転する土地の4.25倍の土地を8億6617万円の費用で購入する(そしてその土地の一部は、土地開発公社から水戸市が4億491万円で購入したものを購入価格の10分の1の4,000万円程度で売却するとのこと)のも、特定団体に対する優遇措置であり、許されません。
いずれにせよ、今回の計画にまつわる利権がらみの疑惑が十分説明されていません。

5番目に、需要調査や収支計画、経営管理計画の欠如ならびに市民的論議の欠如です。
新市民会館計画における2,000名収容の巨大ホール、3,000名規模のコンベンションについては、肝心の需要調査がまともになされておりません。また、施設の稼働率や修繕費・維持費の見込みなどを踏まえた収支計画や管理運営計画も明らかにされていません。

これら需要調査や収支計画・管理運営計画等が明確に、根拠のある数値で示されない限り、いくら高橋市長が「コンベンションの拠点をつくり、交流人口を増やし、中心部を活性化する」などといっても、この計画は「絵空事」であり、税金の浪費に加え、将来も毎年赤字に悩まされ、厄介な「金食い虫」をつくる無謀な計画であるといわなければなりません。まさに「巨大箱物建設先にありき」です。ちなみに、年間の維持管理費は旧市民会館の場合、平成22年度で人件費や修繕費を除き約8,000万円だったのに対し、新・市民会館は年間約3億円もかかるといわれています。3倍以上です。

この間、全国の地方都市でもコンベンション施設を競争してつくり、集客が思うようにいかず、軒並み赤字経営に苦しんでいますが、その愚を繰り返してはなりません。全国の文化施設づくりの教訓でも、規模や立地を決める前に、施設の完成後にどんな利用をしたいのかの市民的論議を十分行うことが必要だとされています。その点では、水戸市では、施設の設計や会議室など各部屋の配置も市民的に議論されていません。
以上のような危うさを抱えた今回の計画は、いったん白紙に戻し、事前の需要調査をきちんと行い、身の丈に合った市民の使いやすい市民会館をつくるべきです。

第6に、建設予定地周辺の交通混雑と駐車場不足の問題です。
予定地周辺の道路は一方通行が多く多数の車が一時に集中すると、交通渋滞は必至です。
3,000人のコンベンションともなれば、大型バスを含む1,000台内外の車両の駐車が必要になると見込まれます。市は、必要な駐車台数を700台と想定し、約400台を近隣駐車場の空車分を見込み、残り300台分の専用駐車場をつくるとしていますが、必要駐車場の想定が少なくないか、近隣駐車場の空車に依存しすぎていないか、疑問は尽きません。
自動車排気ガスと日照の問題で住民の反対運動が起こっていることも見過ごせません。

ちなみに、1,514席の大ホールを持つ県民文化センターの駐車場は約630台です。それでも1,000人規模の集会や催しがあると満車になってしまいます。新市民会館は、「駐車場不足と大渋滞で二度と行きたくない」という市民を生み出すことになるでしょう。

7番目に、イベントによる集客で街の活性化を図れるのかという問題があります。
年間に数えるほどのコンベンションやイベントの誘致による集客はその時だけの一過性のもので、街の活性化や賑わいをもたらす保証はありません。「集客の期待値だけをなんの根拠もなく過大に見積もり、需要を冷静に判断しない安易な発想が一番危ない」と専門家も警鐘を鳴らしています。まさに水戸市への警告ともいえるでしょう。高橋市長は新・市民会館に年間60万人の利用を見込んでいると表明していますが、これは平均で2,000人が300日間利用しないと達成できない数値であり、根拠のないあまりに楽観的な過大見積もりであると言わざるを得ません。もっと地に着いた発想をすべきです。

人口減少時代を迎え、水戸市も税収増は望めなくなり、将来、深刻な財政難と急速な高齢化に直面することが予想される下で、確かな根拠のない呼び込みの集客に基づいた巨大な箱ものは「バブル期の時代遅れの発想」であり、厳に慎むのが常識ではないでしょうか。

巨大な市民会館を建設しても中心市街地の活性化につながりません。そもそも劇場型の文化施設によって周辺のにぎわいをもたらすことはできません。人の流れを滞留させるのは、美術館、博物館、児童館や公園など、不特定な時間帯に多様な人が自由に出入りすることができる施設です。街の活性化という視点で考えれば、市民会館は全く的外れだといえます。

中心市街地の活性化は市民会館建設とは別に取り組むべき重要課題です。市民が計画策定段階から参加し、市民の意見を十分に聴き、市民と行政が知恵を出し合って計画をつくり、親子連れや若者を含む市民が気楽に、日常的に利用し、集えるような施設づくりと街づくりを行うことこそが、街の活性化や賑わいを取り戻す確かな道といえます。

第8に、市民会館はコンパクトなものにし、節約した予算を福祉などに回すべきです。
市民生活が苦しくなっている下で、市民会館のために320億円もの莫大な支出をすることは多数の市民の理解が得られません。旧市民会館の規模で、十分機能が果たせます。

新・市民会館の建設には巨額の税金を投入しながら、学校給食や市立図書館地区館を人件費削減のため民間業者に委託し、私立幼稚園児に対する子育て補助金をカットし、下水道料金を値上げするなど、市民を苦しめる市政になってはいないでしょうか。

旧来の規模でのコンパクトで身の丈に合った市民会館ならば、「6水総」で決めた68億円程度で済み、250億円もの莫大な財源を節約できます。これだけの財源があれば、公共料金の値上げを抑え、子育てや介護、教育の充実や道路、下水道の整備など住環境の向上のために様々な施策が実施できます。
市民の暮らしを守り福祉を増進するという地方自治の原点から見ても今回の市民会館計画には問題が多いと言わざるを得ません。

9番目に、市議会の役割として市長の行政を厳しくチェックしてほしいと思います。
市議会議員は市長とともに市民の直接投票で選ばれた市民の代表です。市議会議員と市議会は市長の行う行政が公正かつ効率的に執行されているか、税金が無駄使いされていないか等を厳しく監視し、チェックアンドバランスの関係において公正で効率的な行政を遂行していく役割があります。それが戦後自治制の二元代表制の理念です。

このような市議会議員の役割と存在意義を考慮したとき、上記のような問題の多い新・市民会館計画を市議会が市長の言うままに追認してしまうことは、自らの責任と役割を放棄するものと批判されても仕方がありません。市議会議員としての責任と誇りにかけて、この問題に対応していただきたいと考えます。

最後に、今回のような極めて重大な案件は、ぜひ住民投票で直接住民の意見を聴いていただきたい。住民投票で直接市民の意見を聴くことは地方自治法にも保障されているように、市民の政治参加の重要な機会であり、合理的で道理があります。

高橋市長は先日の議会で「住民投票条例は必要ない」と述べられましたが、市民の意見表明の機会をなくし、市民が市政に参加する道を閉ざしてしまってもよい、とお考えなのでしょうか。市長が日ごろ強調される「市政への市民参加」や「市民と行政の協働」と矛盾する態度ではありませんか。

高橋市長が現計画に市民の多数の賛同が得られると考えられ、その自信がおありならば、住民投票に反対する理由はないと思われます。それが市民の声を聴くという市民の代表としての市長の進むべき大道ではありませんか。ぜひ市民のために考え直して頂きたいと思います。

さらに、市長と議員の皆様によくお考えいただきたい。市長と議員の皆様だけで、これまで私が縷々述べてきた様々な問題を含むこの計画について、全市民と子供の世代までにわたって本当に責任を負えるとお考えでしょうか。やはり主権者である市民の判断と責任にゆだねる住民投票にかけることこそが賢明な選択ではないでしょうか。

水戸市の明るい将来と将来世代のためにも市長と議員の皆様の賢明なご決断を心からお願い申し上げまして、私の意見陳述を終わります。御静聴ありがとうございました。

丸山幸司(「市民の会」共同代表・弁護士)
市に重大な損害を及ぼしかねない

弁護士の丸山幸司です。私が申し上げたいことは2点です。

1点目は、現在進められようとしている市民会館計画が、いったい市民からどのような目で見られているかということです。このことについて、私は法律的観点から問題提起します。

みなさんもご存知でしょうが、我が国の刑法には背任罪という罪があります。会社法にもほぼ同じ要件で成立する特別背任罪という罪が定められています。これらの罪は、会社の取締役などが、会社に損害を与えることを知りつつ、権限を濫用して職務執行をし、会社に損害をあたえたときなどに成立します。例えば、金融機関の融資責任者が、十分な担保も取らないまま、過剰に貸し付ける行為などが罪に問われます。

つまり、市民社会においては、それがたとえ職務の範囲内であったとしても、会社などに損害を与えることを認識して権限を濫用する行為をすれば、背任罪に問われる可能性があり、そうした規範意識の下に、市民は社会生活を営んでいます。このことは、今回の市民会館建設について、市民がどのように考えているかを推し量る非常に良い尺度・物差しになります。

今回の市民会館建設は、いったいどのような事業でしょうか。ご存知のとおり、地方財政法4条では、「地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない。」と定められています。予定されている大規模ホールを備えた市民会館がその予算規模から期待される恩恵を水戸市民に与えることができるでしょうか。「必要且つ最少の限度」とは到底いうことはできないのではないでしょうか。

他方で、予定地付近の車の大渋滞、事業推進に伴う水戸市財政の悪化などが予想されることからすれば、水戸市に重大な損害を及ぼしかねない事業です。これでは、市民社会で背任罪に問われるような問題点を多々含んでいるとみざるをえません。こうした事業を承認し、執行していくことを、水戸市民はどれほど厳しい目で見ていることでしょうか。水戸市民は、自分たちが会社で同じことをしたなら犯罪にあたりかねないようなことを、議会と市長が行ったと考えるのではないでしょうか。

こうした市民社会の規範を地方政治に活かしていくのは、まさに議会の仕事です。市議会議員である皆さんお一人お一人の使命です。今、みなさんに求められているのは、市民サイドから投げられたボールをきちんと受け止めて、チェック機能を発揮することであるはずです。

2点目に、今回の市民会館の問題に関連して請求した住民監査請求について触れたいと思います。私はここでも、水戸市が市民感覚と大きくズレた行政執行を行っていると感じずにはいられません。
私も含め4名の市民がなした住民監査請求のうちの1つに、取得予定地に比して代替地が4.25倍にもなるという問題がありました。

これについて、監査委員会は全く理由を付さず不受理にしましたが、市民感覚で言えば、自分が現在持っている土地が4.25倍になるなんていう取引は、本当に笑いが止まらない儲け話です。

しかし、反面として考えなければならないのは、代替地として提供されるのが水戸市の財産だということです。
果たして取得地の所有者に、そこまでの過大ともいえる好条件を提示しなければならなかったのか、先ほど申し上げた地方財政法4条の「必要且つ最少の限度」といえるのか、厳しくチェックされなければならないのです。

以上のように、この市民会館建設の問題に関わって、水戸市は、水戸市民であれば決してやらないような浪費的な財産管理をしているのです。浪費行為とも評価されうるものです。

ここでもう1つ法的な事例に例えます。浪費行為の末、水戸市民が破産しようとした場合、破産法上の免責(免責というのは、法律上債務支払いの責任を免れることですが)、そういう効果を認めてもらえません。裁判官に叱られて、追い返されてしまうのです。水戸市がこの市民会館問題などを原因として将来支払不能になった場合、個人に引き直せば破産もできず夜逃げするしかないような愚かな結果だと評価されることをぜひ自覚していただきたいと思います。

水戸市議会議員のみなさまの良識に強くご期待をし、私の意見とします。

佐藤 篤さん(ピアニスト)
芸術館のフル活用で市民の創造活動の場に

1) はじめに

私、「茨城演奏家連盟」会長、及び「音楽芸術活動支援で地方を創生する会」主宰を務めておりますピアニスト佐藤篤でございます。
決して音楽界の井伊直弼ではございませんのでお手やわらかにお願い申し上げます。

2) 新・水戸市民会館と水戸芸術館との相乗効果について

さて、市長が5月11日、議会に提出された「新・水戸市民会館計画」及びこれらに係る市費の支出の賛否を問う住民投票条例に関する意見書に新・水戸市民会館と水戸芸術館の相乗効果について述べられていました。しかしながら水戸市が県庁所在地として人口30万人に満たないこと、新幹線が通っていないこと、観客動員数等も併せて考えますと、市長の新しいまちづくりのイメージを少なくとも芸術分野に限っては、音楽・美術・演劇など総合的芸術活動の拠点である水戸芸術館を十分に活用することから始めてみてはいかがでしょうか。

仰るように世の興行主はアンケートを取るまでもなく、チャンスがあれば日本中いたるところで公演したいと思っております。そこで新・水戸市民会館に限らず、水戸芸術館においても水戸芸術館条例を改め、特に運営に関して市民の自由参加となれば、興行主、及びマネージ業界介入の公演が可能となります。そうなれば一部部門の学芸員は不要です。加えて館長、理事長も水戸市側の出向、兼務で十分です。それによりかなりの人件費の節約ができるのではないでしょうか。

このように水戸芸術館をフル活用すれば、それが市民の創作活動の場にもなるし、芸術活動を促進することにもなるのです。まずはそれでプラスの経済効果を確認してから大規模な施設建設となれば市民も納得するのではないでしょうか。その上で新・水戸市民会館計画について改めて広く市民の意見を募り再検討すべきではないでしょうか。

3) 水戸芸術館の運営上の厚き壁

とは言え、ご存知のように水戸芸術館条例の関連で、現時点での運営は基本的に貸しホールをせず、芸術館の企画するイヴェントと、数少ない一部の公演を演奏者等と水戸市芸術振興財団との共催として使用させているのが現状です。

例として「茨城の演奏家による演奏会企画」とか「茨城の名手・名歌手たち」のシリーズがございます。しかしながらこれらの審査に私自身立ち会ったこともございますが、客観性・公平性の視点で考えると地元審査員、選考委員や彼らを推薦する側との仲良しこよしのしがらみがそれを困難にさせているように思えます。

そこで提案ですが、水戸市住民投票条例制定請求書1.-(2)に書かれていますように然るべき使用料を定め、広く一般市民に開放すれば市民税の節約にもなります。その上審査会も不要となり、審査員との人脈の有るなしに起因する不平等もなくなるのではないでしょうか。

実際問題として、優秀な茨城県人が水戸芸術館にそっぽを向き、水戸市以外、茨城県外のホールでしか公演しようとしなくなったら、それは何よりも水戸芸術館、水戸市、茨城県の損失でありましょう。
兎に角全体的に劣等感の裏返しでしょうか、従来の運営には著名人志向による後遺症が数多く見られます。私も今まで茨城演奏家連盟の会長として事務局長、学芸員等には直接会って、問題提起をいたしましたが、それらについての弁明は、一時しのぎにしか聞こえません。一つの偽りを正当化するためにはそれに関連して幾多の偽りの上乗せが必要となるということでしょうか。

4) 最後に

最後になりますが、前述の市長の意見書に「吹奏楽団体、合唱団体等からは従来の公立文化施設では、楽屋、リハーサル室が不足~」云々とあります。しかしながら水戸市音楽団体連合協議会の世話人3名の連名による、各音楽団体代表者あての趣意書(昭和63年7月20日付)を見ますと、「水戸芸術館音楽専用ホール施設についてほとんど満足のいける結果をうることが出来た」とありますがこの矛盾は一体何でしょうか。

私思うに水戸芸術館設立に関しての、最大の過ちは実際地元で活躍している舞台芸術家を水戸市側も音楽関係団体も無視したことです。市長が新・水戸市民会館の運営で興行主へのアンケート調査をしておりますが、欠落していることは何かといえば、舞台芸術家の自主公演について触れられていないことです。もし今後も水戸芸術館が基本的に自主公演否定の運営方法を継続するならば、それは取りも直さず世の舞台芸術家に対する冒涜であり、背信行為でありましょう。

これでは少なくとも、彼らは水戸市を「住んでみたいまち」と思うわけがありません。結果、相も変わらず延々と水戸市のアマチュア天国が維持されるでありましょう。これぞ今回の、水戸市の音楽関係者団体と市側の担当者とのコラボレーションによる新・水戸市民会館計画の目指すところならば何をか況やであります。

以上、初代水戸芸術館館長、吉田秀和ならぬ松陰先生の「至誠にして動かざる者は未だあらざるなり」との名言を頼りに一言述べさせていただきました。ご清聴ありがとう存じます。これで私の陳述を終わりといたします。

菅野法子(「市民の会」共同代表・水戸母親連絡会事務局長)
巨大な施設より身近な市民センターの充実を

水戸母親連絡会事務局長の菅野法子です。
私たちは「生命を生み出す母親は生命を育て生命を守ることを望みます」のスローガンのもと、毎年水戸の母親大会を開き、子どものこと、暮らしのこと、環境や平和のことなど身近なテ―マで話し合い、さまざまな願いを実現してきました。

私たちは、300億円以上、3,700人収容の「新・市民会館計画」は白紙にもどし、市民の声を十分反映させて、子どもたちに過大な負担を負わせない、そして市民が使いやすい市民会館をつくってほしいと願っています。

私は住民投票を求める署名を、私が住んでいる双葉台を中心にお願いし集めました。「税金の無駄遣いだね、ハコモノで町は活性化しないのではないのか?」「年金も下がり生活が大変」「税金は、介護や子育て支援に使ってほしい」「財政が破たんして夕張みたいになるのではないかと心配」などいろいろな声がありました。

新・市民会館は当初の計画どおりの68億円で建てて、300億円は市長が公約したとおり「未来を担う子供たちを大切に育てる」ことなど市民の願いを実現していくために使ってください。

昨年、若い子育て中のママ達から「東町の幼児用プールを存続してほしい」と署名運動がおこり、1カ月あまりで約3,800人の署名を集めて、市長に提出しました。ところが巨大な新・体育館の駐車場用地をひろげるためにつぶしてしまいました。
「暑い夏、子ども達がいつでも水遊びできるプールをつくってほしい」という願いは、水戸市内じゅうの父母と子供たちにとってあきらめることができない強い願いです。

また、転勤で水戸に来た人たちは、近くに子供を遊ばせるところがない、下校後の子どもが安心して遊べるところもないと困っています。
幼児や学童の子どもたちが安全に遊べる児童館のような施設を地域ごとに作ってください。
今年4月に発表された水戸市の保育所待機児童は、158人と県内一多い状況です。未来を担う子ども達を大切に育てるために、認可保育所を増設してください。

私たち女性は市内各地で様々な活動をしています。ほとんどが市民センターを借りるのですが、希望者が多く、朝8時半までに並んで抽選をして会場を借りることになっています。ところが、一つの団体が月に2回までしか使えないために、会場探しに毎回苦労しています。大きな市民会館ではなく50人~100人位の会議室を市民の多くが望んでいます。
身近な市民センターをもっと充実してください。

私は女性の立場で発言しましたが、これらは市民の日常生活の中から生まれたささやかですが切実な願いです。巨大な市民会館にかけようとしている300億円の何十分の一かで実現できる願いではないでしょうか。
議員の皆さんに、この市民の願いを受け止めていただくことを強く願っています。

今すすめている市民会館の計画について市民の率直な意見を聞くために「住民投票条例」をぜひ実現してください。
どうぞよろしくお願いいたします。

大曽根紀雄(「市民の会」事務局次長・水戸地方労働組合総連合監事)
立地場所、規模などは市民の声聞いていない

私は、新水戸市民会館建設計画は、住民投票により白紙にもどし、市民参加で計画し直すべきだとの主旨で陳述いたします。
その第1の理由は、市民会館の立地場所(即ち泉町1丁目北地区)や規模(即ち2,000人の大ホール、3,000人コンベンション)について、 市民の要望・意向などを一切調査せずに市の方針の大転換を決めたことです。

市長は、平成25年にこの立地場所と会館の規模にすると決めたと答弁しました。市議会に特別委員会が設置されたのはその後で、団体ヒアリングや、市民アンケートなども、すべて、その翌年以降におこなわれました。市の長期計画である水戸市第6次総合計画できめられた事業費68億円の計画を、事業費4倍以上の巨大事業へと大転換することですから、市長独断で決められるはずはないのですが、議会審議も、市民や団体への調査もすべて、これを事実上追認し、合理化するかたちで、あとから行われました。

たとえば、26年の市民アンケートの調査項目には、立地や、規模に関して意見を聞く項目がありませんし、27年1月の意見公募(パブコメ)も、市の決めた立地、規模を大前提として意見を求めるものでした。

私は、この意見公募に応じて、「公募のやり方が適切でないこと、大規模なアンケートで市民の意見を聞くべきこと、立地を泉町1丁目に限定すべきでないこと、無料の専用駐車場を確保すること、ホールの規模は2,000人の大ホールでなく従来の規模とすること」などの意見を提出しました。去年の市長選挙でも、市長は、300億円にのぼる事業費などを明らかにせず、市民の審判を受けていません。将来、私たちの子や孫の世代がどのくらい負担を背負うことになるのかも明らかになっていません。ですから、計画はいったん白紙にもどし、これらを明らかにして、市民の声を聞くべきです。

第2の理由は、市長は、14,691人の署名を集めた「市民の会」と、1回も話し合うこと無く、説明責任を果たしていないことです。また11日の臨時議会審議でも、市長に答弁を求めた質問に対して、市長自らは一切答弁せず、傍聴していて本当に失望しました。市民は、議会もまた、市民の疑念に答えないまま、強引な市の路線の押しつけに手を貸すのか、注目しています。議会は行政に対するチェック役だという市民の期待に応えていただくよう、切望いたします。

第3の理由は、 私の経験から、市民会館のホールは震災前の1,000席規模が適切だと考えるからです。
まず私のカラオケ教室の経験ですが、震災前から毎年1回、旧市民会館のホールで市内の全教室の交流・発表会が行われており、当時のホールの約1,000席はちょうど良い規模でした。震災後は、やむなく県民文化センターの約1,500席の大ホールで行っていますが、ホールが大き過ぎて、客席の空席が目立ち、また使用料金も高く、運営がより困難になりました。これよりも更に大きい2,000席のホールとなると、市民の生涯学習活動の発表の場としては全く不適切だと思います。

さらに私の経験ですが、巨大な会館などよりも、各地区の市民センターの改良の方が日常的に市民の文化活動の役に立ちます。たとえば、和太鼓のクラブの場合、ホールの防音設備が不十分で、練習中の騒音が会議室や近所に漏れて、迷惑をかけています。ホールの窓や扉を二重にするなどの防音工事を行えばこれは防げます。

第4の理由は、駐車場と交通問題です。 公共交通のバス便が減少し、郊外住民や交通弱者の自家用車や車の相乗り利用は不可欠です。会館立地の第1条件は、広い、安い駐車場を備えることです。 現に、水戸市が平成26年に行ったアンケートでも、「市民会館で、最も重視すべきことは」との問いに、「駐車場」という回答が第1位で、53.4%でした。仮に2,000人の大ホールができたとして、300台の駐車場では全く不足で、市内不案内のお客さんなどは駐車場をさがして右往左往することになります 。また、市民会館は、催しや公演が終わるとお客が一斉にサーッと帰り、周辺は交通ラッシュになります。中心市街地への立地は避けるべきです。

あらためて、 調査をし直して、十分な判断材料を市民に提供して、オープンに議論し、市民会館の立地や規模を、市当局、市議会だけでなく、市民や団体ぐるみで考えるよう提案します。議員の皆様の条例案へのご賛同をおねがいし、陳述といたします。ありがとうございました。

岩清水 理(「市民の会」事務局長・団体役員)
公聴会・公述人7人全員が計画の見直しの意見だった

新・水戸市民会館計画を白紙にもどし、市民の声を反映させる会・略称市民の会の事務局長をしている岩清水 理です。
私は、政府系金融機関に37年間勤務し、札幌、東京、酒田市での勤務を経て、その後22年間は水戸支店で中小企業の営業支援と債権管理計画の策定などに携わり、2006年10月に定年退職しました。その後も水戸市の政治のあり方とまちづくりに強い関心を持ちつづけています。

今回、新市民会館の計画について、水戸市の情報発信の著しい欠如と説明責任の放棄を強く感じています。これは、市民に計画のずさんな実態を市民に知らせないまま、税金の巨額な無駄遣いを強行しようとする市長の姿勢を示したものと言わざるをえません。

2014年5月から今年5月までの、2年間の「広報みと」をみてもこの計画を特集した記事はありません。
ちなみに東町運動公園の体育館建設に関しては昨年12月1日の「広報みと」で、2頁にわたり計画図入りで説明されています。
一方、新市民会館に関する「泉町1丁目北地区・市街地再開発事業の都市計画の公聴会」のお知らせは、同じ昨年12月1日の「広報みと」の13頁に、紙面の4分の1ほどの小さい見逃すほどの記載でした。しかも、その公聴会は、クリスマスイブの12月24日の夜という一般市民が参加しにくい日となっていました。公聴会では、私をふくめて7人の公述人全員が計画への疑問を述べ、白紙・見直しをすべき理由について多くの意見を述べました。しかし、4カ月以上経過した今も市長はその内容を市民に知らせていません。 公述人のなかに計画賛成の市民がいなかったことから公聴会の内容を隠しているとしか言えません。

市長は「市民の声を聴く」と再三言っていますが、昨年9月から10月に実施したアンケートへの回答はわずか331人であり、何と有権者の0.15%にしかすぎません。
2011年12月に行った第6次総合計画の策定に際して「未来の水戸をつくる市民1万人アンケート」のような、多くの市民を対象にした意見の聴取を今回の計画に関しては行っていません。

この「市民1万人アンケート」に寄せられた市民の意見は、「水戸市の方向性」そして「今後優先すべき施策」の第1位は、ともに「災害に強い安全な街づくり」、2位は「高齢者や障害者が安心して生活できるまちづくり」でした。そして施設整備の地域要望として、道路や外灯など生活基盤整備に高い要望と期待が寄せられています。

また今年1月11日に水戸市が行った「新たな市民会館に期待すること」と称するシンポジウムなるものは、市長が最初に自分の意見を時間オーバーして一方的に述べて直ちに退席しました。そのあと6人のパネリストが発言しましたが、参加した市民の質問や意見を全く受け付けないというシンポジウムの名に値しない「閉鎖空間でのアリバイづくり」でした。

その6日後の1月17日、私たち市民の会が主催したシンポジウム「市民会館を考えるつどい」には、会場満杯の155名が参加し、5人の多彩なパネリストの発言がありました。先ほど陳述した佐藤 篤さんのほかに、水戸市立図書館を育てる市民の会会長の斉藤典生・茨城大学名誉教授は「市民の目線でのチェック、対話型の行政の必要性」、河和田幼稚園の嶋田眞美園長は「教育や子育ては未来への投資。市長のお金の使い方はだれに投資しているのでしょうか」、新日本婦人の会水戸支部の大川レイ子支部長は「身近な市民センターをもっと充実してほしい」、イ・ソリスティ・イバラキ室内合奏団代表の田口邦生・元水戸一高教師は「水戸市のことは水戸市民が決める。行政は市民をいじめるなと言いたい」と指摘されました。

さらに、地元地権者をはじめ10名の市民がフロアから「2,000人の大ホールなど必要ない」「子や孫の時代に借金を残せない」「子育てに役立つ施設、緑を生かした計画を」「計画をいったん白紙にもどしてみんなで考えよう」など、ごく一部の紹介となりますが、次々と意見を述べあいました。

多くの市民は、今回の計画について意思表示をしたいと考えています。
それは「市民参加のまちづくり」に大いに寄与するものです。
若手建築家で各都市のプロジェクトに従事している藤村龍至氏は今年2月26日東京新聞のインタビューに次のように答えています。
「首長だけがトップダウンで物事を決めるのではなく、住民など多様な主体が街づくりに参加する関与型の意思決定が求められています」。その通りではないでしょうか。
住民参加のまちづくりの第一歩は、今回議案として上程されている住民投票ではないでしょうか。

計画に賛成の市民でも反対の市民でも、今はよくわからない市民や迷っている市民も住民投票の実施まで3カ月の期間がありますので計画をさらによく理解されたうえで、意思表示ができます。

上程されている議案に対して「本条例については必要ない」という市長の意見は「住民投票で計画反対」の市民が多くなることを恐れているとしか言いようがありません。市長は計画に自信があるのであれば、住民投票を実施して堂々と、計画賛成を過半数獲得すればいいではありませんか。
「市民の声を聴く」と言いながら、真逆の意見を表明した市長は、有権者に敵対した人として後世に語り継がれることでしょう。

市議会議員の皆様に心から訴えたいと思います。「有権者の意思表示の絶好の機会」を生かしていただきたいと思います。水戸市政で史上初めての住民投票を実施しようではありませんか。住民投票を行い、全市的に水戸市民の意思を明らかすることができれば、後世に残るものとなるでしょう。

最後に、ぜひとも住民投票条例制定の議案に賛成していただくことを強く訴え、私の意見陳述を終わります。

以上